ダーウィン事変 #112026/03/29

人間とチンパンジーの間に生まれたチャーリーを主人公に据えて、倫理とか主義とか思想とか、テロとか差別とか暴力とか、そういうのについて考える話。センシティブな問題をぼやかさずに描くことで注目され評価されているが、こういう作品で最も難しいのは結末であり、原作はまだ完結していない。

重要なポイントは、チャーリーが達観的に描かれていることだと思う。周囲の人間が彼を蔑んだり主義主張で争ったりしても、彼自身は気にしていない。過激な活動家たちが事件を起こしても、彼は暴力に抗うだけで思想には触れていない。中立ではなく別次元なのであり、ときに人間が思いつかない言葉で現実味に重さを与えてくれる。
しかしそれは同時に、彼が人間の思想にはあまり関心がないという意味でもあって、結果として、物語はチャーリーよりもALAを主軸として展開することになっている。ヒューマンジーが人間社会でどう生きてどう考えてどう変わっていくのか、ではなく、ヴィーガンとか動物解放とかの主張を延々と聞かされる、先鋭的な集団のテロ行為を延々と見せられる、そういう作品になってしまっているのだ。

だから、ともすれば思想の喧伝と捉えられかねないし、考えさせられるかもしれないけど面白くはない、というのがとりあえずの感想だ。アフタヌーンなことで『寄生獣』と比べられたりするようだが、ミギーは好奇心から人間の考え方を理解しようとしていたので、そこが大きく違う。個人的に『寄生獣』の落とし処はとても巧いし良かったと思っているけど、本作がどういう答えを出すのかについては、実はあんまり興味が湧かない。

アニメとしては、新会社ながら作画が良くてクオリティは高い。低音フリーレンもチャーリーの達観した感じによく合っている。神戸光歩は気の強さを先行させた演技で、林原めぐみというより雪野五月っぽい印象。そして、やっぱり大塚明夫は強い。

どうしても、オリバー君を思い出すよな。

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