小市民シリーズ #172025/05/22

知恵の男子と復讐の女子が、その探偵な性質を抑えるべく「小市民」であることを心がける……といいつつ、やっぱり謎を解く話。
同じ原作者の『氷菓』がとても面白かったので、けっこう期待していたんだけれど。ミステリーとしても学園ものとしても、どこか違う/何か変だ/どうも気持ち悪いという違和感が、いつまでたっても第2期になっても一向に消えてくれない。これはいったいなぜだろうか。

一つには、タイトルにある「小市民」の意味するところやそれを目指す理由があまり語られていないせいだろう。前提となるキャラ設定の部分が抜けているので、「小市民」という言葉が浮いてしまっている。
また一つには、各エピソードの「謎」や「手がかり」の提示がぼんやりしているせいもあるだろう。小鳩や小佐内がなんだか解ったような顔で解ったようなことを言うんだけど、彼らが何のために何を根拠に何をやっているのか、いまいち伝わってこない。

映像としてはキレイに出来ているし、羊宮妃那のちょっと怪しげな空気感がすごく良い雰囲気を出しているので、もったいないなーと思う。

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チ。-地球の運動について- #252025/04/28

天動説の世界でいかに地動説が証明され認められるかという自然科学な話、ではなく、神への信仰が絶対の世界でいかに人間が真理を求めるかという宗教学/哲学な話。迫害されながらも真実に向かう強固な意志が受け継がれていく話、ではなく、真実を求めるという人間の本質が偶然と必然によって歴史の中でつながっていく話。
タイトルやイントロから受ける先入観との差異にモヤモヤしていたが、なんとなく理解できた。つまり、この作品の主題は「地球の運動」ではなく「チ」の方にある。

フィクションとして描いた知性の在り方や神との折り合いや文化文明の変化といったものが、ラファウを通して史実に受け渡される。そういうものだよ、とだけ示して、明確な見解を出さず解釈は受け手に委ねている。それは世界観というより人間観だと思うのだが、どっちで捉えるかで感想が分かれそうな作品だ。

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忍者と殺し屋のふたりぐらし #032025/04/27

里を抜けたのほほん忍者とクールな殺し屋女子高生が同居して、まったり暮らしながら追っ手の忍者たちをざくざく殺す話。なのに、オープニングやエンディングも含めて、全編明るくのーてんき。

粗製濫造が目に余る昨今では、こういうアニメとしてこなれた作品はうれしい限りだ。さとことこのはの掛け合いも楽しいけど、豪華CVなゲスト忍者のほっこりエピソードを見せておいて、さくっと殺してしまうという無情な空気が、なんとも独特な余韻を生んで面白い。
羊宮妃那は残しといて欲しかったけどな。

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片田舎のおっさん、剣聖になる #032025/04/23

田舎で畑仕事をしていたおっさんが転生してチート能力を得る話、ではなくて、田舎の剣術道場のおっさんが実は強かったという話。おっさんモードの平田広明が、ほとんど南波六太に聞こえる作品。

実力があるのに自己評価が低い、いわゆる無自覚もの。『パリイ』もまあまあ面白かったし、こういう設定の方がウザい俺TUEEEよりはなんぼかマシだ。あまり特徴も無くフツーの出来だけど、今期は不作なのでこれで十分。
原題から「~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~」を削ったのは英断だったと思う。

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薬屋のひとりごと #392025/04/21

第2期も2クール目に突入。本格的にどろどろしてきたけど変わらず安心のハイクオリティ。新オープニングも悪くないけど、個人的には女声の方が好み。

アイスの話は、小蘭のキャラが弱ければ成り立たなかっただろう。明るさや幼さを無垢に表現できる声優として、やはり久野美咲は無敵の存在だ。
『3月のライオン』モモのような幼児から『ひそまそ』甘粕のような(一応)大人まで、リアルに「子供っぽい」というのは、本当にすごい。ちょっと抜けた感じで笑みを誘うキャラが多いけれど、それでいて『メイドインアビス』ファプタなど圧倒的な演技力もちゃんと備えた実力派。素人同然の子役に子供の声を当てさせて「リアリティ」とか言っちゃう連中がいかに愚かであるか、とってもよく解るそす。

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機動戦士Gundam GQuuuuuuX #022025/04/17

第1話では、主人公たちが走り回って、モビルスーツが飛び回った。アニメらしい自由で楽しいキャラの動きと、重厚で迫力のあるカッコいいメカの動きで、カラー×サンライズの実力をこれでもかと見せつけた。
第2話では、一年戦争の分岐を描いてパラレルワールドとしての世界を設定した。ファーストガンダムのよく知るシーンや台詞やアイキャッチまで取り込んで、ガンダムファンを驚喜させ、同時に異なる世界線への期待を膨らませた。

脚本に庵野秀明とあって、なんだか納得だ。いろいろ嫌いなところもあるけれど、必ず旧作への強いリスペクトが感じられる点は、やはり尊敬できる。劇場版から変更された構成には賛否あるみたいだけど、意図が理解できるのでこれで良いと思う。
前のめりで走るオープニング、良い。つかみは上々、第3話からが勝負なのだろうが、とりあえずこれはもう観るしかない。

ダメなのはテレビ局だけ。

www.gundam.info/feature/gquuuuuux/

ギャグマンガ日和GO #022025/04/16

早いもので第1期から20年。新作ながらCVはそのままで、見慣れた絵柄にお約束ギャグが安心の出来。台詞の間を詰めまくる大地丙太郎式ハイテンション演出の究極形であり、名塚佳織の真髄を堪能できる作品だ。

かつて第2・3期とアニメ化を重ねた頃には、大地丙太郎演出がエスカレートした結果、調子に乗って台詞を詰めすぎて尺が余ってネタ切れを起こすなんていう本末転倒なこともやっていたけれど。
今回はほどほどにしましょうね。

www.gagbi-go.com/

新マクロス 超時空歌姫オーディション20252025/04/13

噂のサンライズ版マクロスで、歌姫オーディションが開催されている。一次審査は、YouTubeに歌唱動画をアップするという今風なもので、04/30までの受付。二次審査を経ての最終審査が07/E予定らしいから、アニメはまだまだ先のようで。

ミンメイが衝撃的だったのは、歌唱力だけでなく声そのものの魅力だ。あの歌声には、連中が「でっかるちゃー」するだけの説得力があったし、それが、文化で戦争を終わらせるという斬新なストーリーを成立させた。

シェリルやランカやワルキューレの歌唱が素晴らしいという点に異論はない。娘たまCDも喜んで買った記憶がある。だが、彼女らの魅力は、ミンメイに比べて暴力的とも言える歌唱力だ。それは、敵を圧倒するためのものであり、本来の「でっかるちゃー」な要素は求められていない。なんちゃら細菌とかなんちゃら因子とかの設定は、マクロスが文化のチカラを失った証拠ではないか。

時代が違うのだから仕方ないのだろう。それは理解できる。トレンドに乗って、Adoみたくより暴力的な歌唱力のヒトが選ばれそうな気がする。あるいは、課題曲を聴いた感じでは、二代目シェリルのようなヒトが選ばれそうな気もする。
しかしそれでも、個人的な理想はやはり、囁くだけで惹きつけられる唯一無二の声だ。「渾身の歌」ではない。

とりあえず、あんまり期待せず、サンライズ版バルキリーだけを楽しみに待つ。

macross-aud.jp/