【推しの子】 #352026/04/02

設定上の重大なポイントである出自の暴露と前世の告白で、盛り上がるだけ盛り上がって第3期が終了。苺プロも映画制作も体制が整い、いよいよクライマックスだぜという感じで第4期の制作を発表。物語やキャラの魅力はもちろんだが、すごく計算されているなという印象を強く受けた。こりゃ第4期も絶対面白いぞ!って思うもんな。

今期で気づいたのは、ブレーキの踏み方が非常に巧みな作品だということ。自己中ディレクターにしても、かなちゃんスキャンダルにしても、醜い現実に切り込んでいきながらギリギリ不快になる寸前で切り返して物語を成立させている。芸能界の汚い部分をどろどろと描きながらも、その事情を吐露する機会を設けることで、単なる批判や否定にならないよう配慮されている。誰かが闇落ちして鬱々な展開になっても、必ず他のキャラが明るく和ませてバランスをとっている。おそらくこういうのも緻密な計算なんだろう。本当に見事だ。

やっぱりルビーはバカっぽく無邪気なのが可愛い。押しに弱いかなちゃんも可愛い。あとは、せっかくちょっとお姉さんらしい魅力を出してきたMEMちょなのに、ニョロニョロ姿でギャグ担当なのをなんとかして欲しい。

#27
ichigoproduction.com/Season3/

死亡遊戯で飯を食う。 #112026/04/03

命を賭けたゲームに参加して、美少女たちがざくざく死んでいく話。連勝記録を目指す主人公を中心に、様々なゲームで大勢の参加者の生死が描かれるが、時系列のシャッフルと雰囲気重視のアニメ演出のせいで、ほぼ内容が伝わらない作品。

寄りと引きで強弱をつけたり、ときに大胆に静止したり、画としての演出はまだ良かった。ものすごく間延びした描写があまりに冗長で、それに対して必要な説明を省いた展開があまりに不親切で、結果として意味不明な表現になったのが悪かった。とりあえず第1話は面白かったけど、回が進むにつれてその悪いところがどんどん酷くなった感じだ。
美少女ばかりなので、しかもゲームごとに入れ替わるので、どれが誰だか分かりにくく記憶に残らない。その誰だか分からない美少女の回想が、ゲームの進行まで分からなくさせている。そもそも時系列がシャッフルされているのでよほど気を遣わないと混乱するのに、その配慮が皆無。尖った演出に凝りたがるばかりで、ストーリーテリングができてない。と言われても仕方のない出来だと思う。
あと、宮沢賢治の扱いにはちょっと許容しがたいものがあった。説明不足のためか『よだか』に投影する例えがちょっと無理矢理に感じたし、引用するにしても、だらだら朗読し続ける演出が「宮沢賢治を持ち出して何か深みがあるかのように見せかけている」としか思えなかった。

雰囲気の演出にばかりこだわっているせいで、素人作品みたいな印象さえ受ける。第1話だけなら面白かったんだけど、もったいない。

shiboyugi-anime.com/

ゴールデンカムイ #622026/04/06

明治末期の北海道を舞台に、金塊を巡ってちょっとイカれた男たちが戦う大人気作。最終章とあって、アイヌ文化の豆知識やヒンナヒンナのシーンはほとんど無く、主要キャラがどんどん死んでいく血飛沫だらけな戦闘メインの展開だが、刺青人皮の暗号が解かれ、金塊が発見されて、いよいよラスト!という盛り上がり。

かと思ったら、完結は冬まで持ち越しだってさ。残量からして、単発のスペシャル特番くらいになるだろうか。実写映画とリンクさせるのか、冬の北海道で記念イベントでもやるのか、ビジネス臭がしなくもない。

戦闘メインなので笑えるポイントは無いんだけど、それでも重くなり過ぎず暗くなり過ぎず、どこかコミカルな雰囲気を残しているのが本作の良いところ。たくさんの生命と歴史を背負ったアシㇼパちゃんが、その重みに負けず、自らの名前の通り前を向いて力強く歩き出す、気持ちの良い完結編を期待しよう。

kamuy-anime.com/

ルックバック2026/04/07

漫画を描く主人公が、障壁であり相棒であり読者であった友との日々を経て、漫画を描き続ける話。創作に向かう熱量の描写がクリエイターたちに称賛され、現実の事件を想起させる内容の描写が少なからず批判され、例によって様々な深読みの考察がなされたりもした話題作。

過去を「振り返る」という意味では、漫画を描く現在から見た原点の物語かもしれない。「背中を見る」という意味なら、互いの背中を見て成長する青春の物語かもしれない。オアシスの件もあるし、おそらく事件の追悼という意味が無いわけではないだろう。劇場では、号泣する観客が続出したらしい。これ、泣く映画かな? どれもまあ理解はできるんだけど、いまいちピンとこない。

個人的には割とシンプルに、ぼくは漫画を描き続けるよ、という話なんだと思った。多くの時間を費やして、主人公の背中が描かれている。単純に、その背中を観る作品なのではないか。それが何になるのか、何の役に立つのか、いろいろな想いを抱えながら机に向かう者の背中を描きたかったんじゃないか。小難しく言うとすれば、取り返しのつかない現実に対して、その受け容れがたい無力を認め呑み込んだ上で、自分が漫画を描き続けることを改めて決意表明する作品、といった解釈になるだろうか。

視覚的には、作画が美しいとか動きが良いとかはもちろんだけど、アニメ的な表現に惹かれるものがあった。ひたすら背中を見せる静の演出は全体を通して効果的だったし、動では雨や雪の中で感情を溢れさせるのが良かった。特に主人公が歓喜のあまり踊りながら走るシーンは、原作の「漫画としての圧倒的な表現力」に対抗して、アニメとしての表現を追求したかのような出来で、見比べるととても面白い。
CVでは、メインの二人は声優じゃないけど全く問題なくとても素晴らしかった。こういう作品では、声で別キャラが浮かんだりしないのは大事なのだろう。大物俳優を使って話題作りをする連中とは違うのだ。

是枝監督の実写版がどう転ぶかはちょっと興味あるけど、あまりにも本作を名作傑作扱いして持ち上げる風潮は、なんか違う気がする。

lookback-anime.com/

グノーシア #212026/04/11

宇宙船の中で人狼ゲームをやるんだけど、主人公は勝っても負けてもループする。何回もゲームを繰り返しながら、だんだん電脳だの別次元だのが主軸にすり替わっていく、とても凝った作りの話。

人狼ゲームであるが故のツッコミどころが満載で、それはもう言い始めたらキリがない。なんでやねんルールに縛られて理屈をこね合っている姿を滑稽だと思ってしまったら、もう楽しめなくなるだろう。キャラの性格が面倒だったり見た目がケバかったりも、導入のハードルを上げてしまっている。なので、これはこういう設定なんだと割り切れる果てしない寛容さが無いと、ちょっと耐えられない作品だ。
ただし、そのハードルさえ越えてしまえば、作画がキレイで声優陣が豪華で、ストーリーもけっこう面白いと思えてくる。段階的にメンバーやルールを理解させる作りとか、ループが最初に戻るお約束な展開とか、出来の良い作品ではあるし、第18話で人狼ゲームとしてのエンディングがあったりとか、原作ゲームを大事にしている姿勢もちゃんと見て取れた。
だからまあ、せっかくなので面白いと思っておこうか。てな感じ。

人狼ゲームとしてのツッコミどころは仕方ないにしても、別次元で存在する/しないとか二重存在で宇宙崩壊とか電脳で意識を移すとかには、多少モヤモヤが残るけどな。

gnosia-anime.com/

MFゴースト #372026/04/14

相変わらずレース部分はとても面白い。アクシデントあり滝ジャンプありの第4戦は、ベッケンバウアーとのコンビネーションでぐんぐん抜いていく展開が超楽しかった。しかしその分、恋ちゃん絡みのうじうじが面倒臭く感じられてしまうのはやや残念。箸休めが必要なのは分かるけど、自分を名前呼びする乙女プレイが鬱陶しさを増している。

元レースクイーンは、イギリス設定もあって意外と悪くなかった。それでも、ひと声でそれと判ってしまう素人を重要キャラのCVに当てるのは、望ましくないと思う。

#28
mfg-anime.com/

LIAR GAME #022026/04/15

20年ほど前の実写ドラマが大人気だった、知略ゲームで騙し合いの話。 改変の多かったドラマ版に対して、アニメは原作ベースでいくみたいだけど、それが正解かどうかはかなり疑問。

戸田恵梨香のドラマ版はとても面白かった。なんだかんだリアリティに欠ける設定での騙し合いバトルが、個性的なキャストや大袈裟でギャグっぽい演出のおかげで効果的に盛り上がった、という印象だった。同じように、例えば『カイジ』では、その過剰な感情表現が有無を言わせぬ迫力を生むことで、細かいことを気にせず楽しめるようになっている。
本作の場合、原作ベースの雰囲気で淡々と進めると、ゲームのアラが気になったりプレイヤーの言動がただ不快なだけのものになったりしそうな気がする。てゆーか、すでに第1回戦でもうそんな感じだ。

原作ベースにすることで喜ぶのはやはり原作ファンだろう。ドラマ版しか知らない立場からするとドラマ版と異なる話はむしろ新鮮だが、原作ファンにとっては先の展開が分かっているということになる。この手の作品でネタバレしてても面白いのか、と考えると、多少の改変はアリかもしれない。

絵柄もまた原作に寄せているようだが、もう少し何とかならんかったんかと思う。全体的にキャラデザが気持ち悪くて、特にナオちゃんはどう見てもホラー漫画。作画としても、『ONE OUTS』に続いてのマッドハウスだけど、今回はクレジットに日本人がほとんど居ない状態で、顔は歪んでるし動きも変だし、とてもマッドハウスとは思えない出来だ。

ドラマ版の成功のカギとなったフクナガは、公式サイトを見た限りでは、 キノコではなく原作通りのニューハーフらしい。もちろんリスペクトは必要だが、原作通りならそれで良いとは限らない。さて、吉と出るか凶と出るか。

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あかね噺 #022026/04/16

落語家として挫折した父親の背中を追って、真打を目指す女子高生がスポ根する話。落語好きや本職の落語家からえらく支持されているようで、例によってコラボがいっぱいの作品だ。何にせよ、こういうのは声優さんが大変だよね。

裾野を広げる絶好の機会とあってか、落語界あげての全面バックアップてな感じで、担当の声優たちはがっつり落語の修行をしたらしい。それなのになぜか、落語シーンは視覚的演出ばかりが盛り盛りで喋りはちょこちょこ程度の肩すかし。もっと話が進めば噺で魅せるエピソードも出てくるだろうけど、出鼻のがっかり感は本当に残念だった。

落語のアニメというと『昭和元禄落語心中』が頭に浮かぶ。重鎮クラスの声優陣が、高座だけでなく日常会話まで落語の世界に引き込んでくれる傑作で、それぞれの性格を活かした落語シーンはとても見応えがあった。ジャンプアニメに求めるものはまたそれとは違うのだろうけど、本作でもどこかでしっかり落語を見せて欲しいものだ。

OP/EDが驚きの桑田佳祐で、でもそう言えば落語って雰囲気合ってるよなという良い感じ。気を遣っているのか、アニメーションが桑田佳祐イメージに引っ張られていてちょっと笑える。
キョウリュウグリーンは、会話にやや難があるものの落語は頑張っていて意外と悪くなかった。それでも、ひと声でそれと判ってしまう素人を重要キャラのCVに当てるのは、望ましくないと思う。

akane-banashi.com/