青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない #102025/10/01

大学生編として、霧島透子の謎を軸にしたエピソード群。迷えるシンガー卯月とナイチンゲール赤城は、大学生であり思春期「引きずってる」症候群ぽくて、それはそれで良かったんだけど、マイスチューデント姫路は、高校生らしく思春期「ど真ん中」症候群で、久しぶりに青春な機微が感じられて面白かった。

小原好美は、ひと言で判る特徴的な喋りが不思議な吸引力を持っていて、『かぐや様』藤原書記や『まちカドまぞく』シャミ子などで、お気に入りの声優だ。微妙に揺れ動く心情を表現するというタイプではないと思ってたけど、もやもや抱えながら強がってドライを演じる姫路には意外に合ってて良かったと思う。
しかしそれでも第10話は、咲太との絆について自信を持って語る麻衣さんと、挑発的に足湯する麻衣さんが、完全勝利。

それでもそれでも現実では、咲太くんは妹のシスコンアイドルと結婚したのでした。

ランドセルガール
ao-buta.com/santa/

ガチアクタ #072025/10/04

ゴミだらけの世界で、長い間大切にされ思念の宿った物を使ってバトルする話。重みのあるボンズなアクションはさすがで、感情表現の誇張されたキャラが気にならなければ面白い。

最近のバトルアニメの悪役はだいたい2パターンしかない。紳士ぶって上から目線でべらべらナルシスト喋りするくせに「ば、ばかな!」とか言って負けるヤツか、イっちゃった目で舌出してキモいストーカー喋りするくせに「なんでだよぉ」とか言って負けるヤツか。
いつの頃からか「敵には敵の正義がある」「とにかく暴力はいけない」「怪獣も害獣も殺すのはけしからん」なんていう風潮のせいで、悪役を描きにくくなってしまった。その結果、王道の勧善懲悪は姿を消し、アタマのイカれた「クズ」を悪役に据えるようになった。主人公の勝利によるカタルシスよりも、その前にあるクズの不快感がやたらと大きくて疲れるのだ。なにかと面倒くさい世の中だけど、もう少しなんとかならんもんかと思う。

名作と呼ばれるものには、魅力的な悪役がいるもんだ。

gachiakuta-anime.com/

サイレント・ウィッチ #132025/10/06

人見知りのビクつく顔と天才魔女の凜々しい顔。二つの顔を持つモニカの表情が、話数が進むにつれて百面相へと成長した。素直に笑えるようになり、友達のために泣けるようになり、ときには少しの自信を見せるようにもなった。ギャグ顔でもシリアス顔でも「可愛い」「応援したい」と思えるキャラデザがすごく良くて、そこから垣間見える成長を喜ばしく思える演出も、キョドる会沢紗弥も、とても素晴らしかった。
でんでん殿下の正体も明かされず、ストーリーとしてはまだ途中なので、クオリティを保っての続編に期待したい。

最近の花澤香菜は、グイグイくるキャラの場合に、どうも過剰演技になってる気がする。『まったく最近の探偵ときたら』とか『謎解きはディナーのあとで』とか、観ていてちょっとキツかった。やっぱり撫子モードがベストだし、『にんころ』や『ユア・フォルマ』のような抑えた演技の方が、良さが出る声優だと思う。

#02
silentwitch.net/

SPY×FAMILY CODE: White2025/10/07

ロイドが、颯爽とトラブルを片付けたり振り回されたりする。ヨルさんが、華麗に敵を叩きのめしたりボケまくったりする。そしてアーニャが、元気に走ってはしゃいで笑顔を振りまく。いつものように家族が「みんなで、一緒に」大冒険して帰ってくる話で、それを何も考えずに楽しむのが正解。

例によって家族紹介から始まったり、レギュラーメンバーを詰め込み気味に出演させたり、一応は初見でも分かるよう配慮されているが、これは明らかに既存ファン向けの劇場版。しかも縦筋のストリクスは進捗しないので、本編ストーリーにも影響が無い。となれば、これはもう愛すべき連中の活躍を楽しむための作品であって、楽しいのだからそれで良いのだ。
大人気作の映画化でありながら、敵役以外に余計なオリジナルキャラを出さなかったのは、極めて正しい。ネジ込まれた新人アイドルの下手な歌を聴かされることもなく、しゃしゃり出た大御所俳優やお笑い芸人の下手なCVを聴かされることもなく、好きなものが毀損されないというのは観る側にとっては重要なことだ。

アーニャ、よく我慢した。えらい。

spy-family.net/codewhite/

百姓貴族3 #302025/10/11

農家の生まれで『ハガレン』で知られる荒川弘の実体験に基づく酪農・農業ネタのショートアニメ。実家の笑えるエピソードと農家あるあるやウンチクが楽しいほっこり作品だ。

知ってはいたけど、荒川弘って本当に女性だったんだなーとか思いつつ。サイロって牧草貯めるとこじゃなかったのな。とか、意外な事実あり、ためになる知識あり、安定の第3期は本当にありがたい。だって今期は、びっくりするほど出来の悪いのが多いんだもんよ。
個人的なお気に入りは、第1期第2話のクズクズクズクズ。

s.mxtv.jp/anime/hyakusho_kizoku/

気絶勇者と暗殺姫 #092025/10/12

やたら強いんだけど女性に免疫がなくてすぐ気絶してしまう勇者と、それぞれの理由で勇者を殺すために近づいた三人の美女が、パーティーを組んで冒険とかしながらなんだかんだで楽しくやる話。勇者はほぼ気絶しているので、三人娘が裏表の顔を使い分けながらわいわいするのが面白い。

ぱっと見は安っぽい作画に思えるし、ちょっとばかり出オチ感があるけれど、勇者を中心としたハーレムものではなく三人娘のドタバタコメディとして構築することで、他にはない設定をちゃんと継続して楽しめるようになっている。敵対しながらも流されて仲良くなっていく展開に、三人のキャラがどんどん立ってくるのとか、堂々と水着回やってるけどお色気がどこか健康的なのとか、なんとなく『このすば』に近い感覚のお気楽さが魅力の作品だ。まるきりヒトマネのくせにもったいぶってシリアスする出来の悪い異世界ものなんかよりは、断然こういうのの方が良い。

制作があそこでも横手美智子が入ると違うのかな。

kizetsuyusha-anime.com/

東島丹三郎は仮面ライダーになりたい #022025/10/14

仮面ライダーに憧れる大人たちが仮面ライダーになりきってショッカーと戦う話。原作段階から石森プロと東映が協力しているため、元ネタの映像(をアニメにしたもの)や主題歌などがばんばん挿入される。回想に出てくる1号には藤岡弘、V3には宮内洋がゲスト出演し、第2話では堀江美都子まで聴けてしまった。さあ、果たして令和の若者はついてこれるのか? ユリコ先生の名字はなぜ岡田なのか?

昭和の子供たちが「仮面ライダーになりたい」と言っていた気持ちは、ライダーごっこをやることもない現代の子供たちとはやはり大きく違うのだと思う。その熱量の違いを理解できる世代にとっては、なんというか魂が揺さぶられるものがあるのだ。ニチアサのチャラいライダーに苛ついていた年寄りが観るぶんには、超面白い。でも、昭和ライダーに思い入れのないヒトが観てどうなのかは、知らん。

茅野愛衣のタックルがすごく良い。背負い投げでもタックルがやれば電波投げ。

tojima-rider.com/

とんでもスキルで異世界放浪メシ2 #142025/10/16

異世界転移した主人公が、元の世界から商品を取り寄せられるスキルで美味しい料理を作り、その料理食べたさに従魔になった超強力な仲間たちとともに冒険したり食べたり商売したり食べたりする話。戦闘は従魔のチートでしのぎ、ほぼ料理と放浪をメインにしているのが楽しい作品で、イオンをはじめ錚々たる大企業の協力により、実在の商品を使ったり、味付けに細かいこだわりを挿んだりする。

第1期はとても面白くて、ここ数年の異世界アニメではダントツだった。ちょっと心配してた第2期も、クオリティは保たれていてまずは安心というところ。例によって新キャラがどんどん出てくるわけだが、あくまで自説として、レギュラーキャラは7~8人くらいが限度だと考えている。あんまり増えると、せっかく面白かったキャラが相殺されたりとっ散らかって薄まったりするからだ。そういう意味で、男神コンビはたまに顔を出すくらいにしといて欲しいと思う。
ドラちゃんCVの村瀬歩は、『パリイ』ロロみたいな過剰オドオドや『水属性』涼みたいな口先だけ喋りが個人的にすごく苦手なんだけど、今回は『王様ランキング』カゲと同じヒネモードにしてくれたので、なんとか耐えられそうで本当に良かった。

おめでとうございますのニンリル様。内田真礼の「心地良いキンキン声」モードとしてはカタリナ・クラエス以来のお気に入りキャラだ。

オーバーラップは公募割れしたまんまだけどな。

tondemoskill-anime.com/